世界一周の経験を通して学んだこと
26歳で旅立った世界一周のひとり旅。
期待と不安が入り混じるなか突入した世界一周の旅は、私の価値観と人生に、大きな影響を与えました。
外の世界を知ることは、中の世界を知ること。
世界を知り、改めて日本の良さ、ふるさと愛媛・松山の素晴らしさを実感しました。
歴史教育について
短期語学留学を目的に滞在したフィリピンのセブ島。
同じ学校に通う韓国人とはとても仲が良く、毎日のように共に食事をし、酒を酌み交わしていました。ある晩、私は思い切って「竹島の領有権」について聞いてみることにしました。
私が「竹島は日本固有の領土であり、これは歴史的にも国際法上も明らかである。君はどう思っているのか」と拙い英語で質問をぶつけると、その瞬間、彼の眼は吊り上がり、これまでに見たことのない形相で
「誰が何と言おうと独島(竹島の韓国名)は我々の領土である。我々はそう教わってきたし、1000人の韓国人がいれば、1000人全員がそう答える」
そう言い切った彼の表情と迫力、言葉の重みは今も忘れられません。教育の在り方について、とりわけ歴史教育の重要性について考えさせられた出来事でした。
治安の良さについて
アルゼンチンの首都・ブエノスアイレス郊外を散歩中、明らかに怪しく、危なっかしい雰囲気を放つ男に遭遇。目の前に迫ってきたその男は、刃渡り15cmはあろうかというナイフを突きつけ、血走った眼でスペイン語をまくし立ててきました。
やばいっ!
一瞬の出来事でしたが、とっさの判断で踵を返し、全力疾走。なんとか逃げ切ることができましたが、とても恐ろしい思いをしました。
また、スペインのバレンシアでは、移動中に地元警察に呼び止められ、意味不明に国際運転免許証を没収されました。後日、乗っていた借り物のオートバイまで没収される始末。
当時、運良く日本領事館の職員がバレンシアに来ているという事で、問題の警察官がいる警察署に同行してもらうも、国際運転免許証を没収した明確な理由は示されず、うやむやな感じで帰されました。また、没収された国際運転免許証は「在バルセロナ日本国総領事館に郵送した」と言われましたが、当然のごとく届いていません。なお、没収されたオートバイは現地で仲良くなったスペイン人の協力を得て取り返すことに成功しました。
世界でもトップクラスに治安の良い国・日本。安全安心は日本の誇りです。
戦争と平和について
イスラエルのパレスチナ自治区では、パレスチナ人達のデモ行進に同行しました。突如始まったパレスチナ人達のフェンスの破壊、そして投石。しばらくすると遠くにいるイスラエル兵からゴム弾と催涙ガス弾が飛んできました。モクモクと白い煙を上げる催涙ガス。しばらくすると無色透明になるが、煙が目に見えなくなっても効果はしばらく続くようで、目からは涙が溢れ、喉には痛みが走りました。
幸い怪我もなく帰ってこられましたが、彼らの日常と私の日常の大きな違いに「イスラエル・パレスチナ問題」だけでなく、戦争や平和について考えさせられました。
また、ボスニア・ヘルツェゴヴィナでは、墓地になったサラエボ冬季オリンピック会場や、砲撃の跡が残る住宅街のアパートなど、1990年代の内戦の傷跡が色濃く残っており、戦争の悲惨さを生々しく感じました。
現在の日本の平和は、先人たちの尊い犠牲の礎の上に築かれたものであり、何もしないでただそこに在るものではないと強く思っています。
物価について
ジンバブエではハイパー・インフレーションを経験。デノミ(通貨単位切り下げ)により、紙くず同然となった大量の紙幣が道端に捨てられていました。
入国日に両替した50USドル分のジンバブエドルは、一週間後には約半分の価値にまで下落。大した額ではないにせよ、貧乏旅行中の身であり、限りある自分のお金の価値が日ごとに目減りしていく恐怖は、印象強く覚えています。
市内の大型スーパーには乾物のパスタしか置いておらず、ハンバーガーショップでは販売価格が書き換えられる毎日。
物価の安定は、持続的な経済成長を実現するための不可欠な前提条件であると実感しました。
ライフラインについて
ボランティアで訪れたウガンダの学校には、電気もガスも水道もありませんでした。毎日子供たちと薪を拾いに行き、水も少し離れた井戸まで汲みに行きました。それらをして、ようやく食事の準備に取り掛かれるのです。途上国の現実を知るとともに、改めて日本の充実した生活インフラの実態を感じることができました。今でも水道水が安心して飲める国は、世界中探してもそう多くはありません。
国土交通省(※)によれば、水道の水をそのまま飲める国は日本を含めて12カ国であり、あるいはそのまま飲めるが注意が必要な国が32カ国で、世界の中ではわずかしかありません。日本は水道の水質が良く、水道水がそのまま飲める数少ない国の一つであり、これは日本が世界に誇れるものの一つであると思います。
※出典:国土交通省「日本の水資源の現況」令和3年度版
https://www.mlit.go.jp/common/001371917.pdf
障がいとインクルーシブ教育について
ライフラインでも触れたウガンダの学校には、肢体不自由の少年がいました。その少年はとても元気で、明るく、みんなの人気者でした。両脚とも膝から下が曲がっており、まっすぐ立つことは出来ませんでしたが、両膝と右手でバランスを取って立ち、みんなと一緒に全力で遊び、学ぶ、笑顔が素敵な少年でした。
あまりに自然で違和感がありませんでしたが、よくよく考えると、日本ではあまり見ない光景だったと思います。
近年、日本でも取り入れられつつあるインクルーシブ教育システム。障がいのある子供と障がいのない子供が同じ場所で学ぶことは、障がいのある子供の経験を広げ、積極的な態度を養い、社会性や豊かな人間性を育むことにつながります。また、障がいのない子供にとっても相互理解を深め、思いやりの心を育てるとともに、多様性を尊重する心を育む機会になると思います。
国籍も人種も宗教も言語も・・・何もかも違う人たちとふれ合い、仲良くなり、時に口論もしながら世界を旅しました。
この世界一周のひとり旅を総括するなら「違いを認め合う」ことを学んだ旅であったと思います。
それはまさに「ダイバーシティ(多様性)&インクルージョン(包括・包含)」という考え方を、自身の価値観の中に落とし込んだ時間でありました。
多様性を受け入れ認め合い、それぞれの良い部分を活かしていくことが、少子高齢化が進み、同時にグローバル化する社会の中で求められているのだと思います。
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